「自分に何かあったとき、家族は必要な情報を把握できるでしょうか?」
自分にとっては当たり前の情報でも、家族は意外と知らないものです。
もし突然の病気や事故などで家族が対応することになったら、必要な情報がわからず、困ってしまうことがあるかもしれません。
そんなときの備えとして役立つのが、エンディングノートです。
この記事では、自分に何かあったときに家族が困らないために、エンディングノートに残しておきたい5つのことと、元気な今から無理なく始める方法を紹介します。
- エンディングノートに残しておきたい5つのこと
- なぜ家族に伝えておく必要があるのか
- 家族でも知らないことが多い、デジタル時代ならではの問題
- 完璧を目指さず、無理なく始める方法
自分に何かあったとき、家族が困らないために残しておきたい5つのこと
エンディングノートに興味があっても、「何を書けばいいかわからない」と迷ってしまうことはよくあります。
市販のノートは記入項目が多く、開いただけで難しく感じてしまうことも少なくありません。
ですが、最初からすべてを埋める必要はありません。
まずは、家族が困らないために、特に大切だと思うことから書き留めてみてはいかがでしょうか。
① 誰に連絡してほしいか、大切な人とのつながり
この項目を一番最初にご紹介するのは、これがエンディングノートにおいて最も大切なことだと考えているからです。
家族であっても、あなたの交友関係をすべて知っているわけではありません。
- 学生時代の友人
- 苦楽を共にした仕事仲間
- 人生の節目で支えてくれた恩人
名前くらいは聞いたことがあっても、その人があなたにとってどれほど大切な存在なのかまでは、家族には分からないことも多いものです。
だからこそ、「この人には必ず知らせてほしい」という一文があるだけで、家族は迷わず大切な人へ連絡を取ることができます。
反対に、「弱った姿は見せたくないから知らせなくていい」「葬儀は身内だけで見送ってほしい」といった希望もあるかもしれません。
そうした素直な気持ちも含めて書き残しておくことが、家族の迷いをなくし、あなたの想いを形にすることにつながります。
② 医療や介護についての希望
突然の入院や、病気によって自分の意思を伝えられなくなる状況は、誰にでも起こり得ます。
そんなとき、家族は医療や介護について判断を求められるかもしれません。
できる限り治療を続けてほしいのか、自然な経過を大切にしたいのか。どこで、どのように過ごしたいのか。
自分の考えをあらかじめ書き留めておけば、家族が本人の意思を考えるための手がかりになります。
もちろん、ノートに書いておけば、すべての判断が簡単になるわけではありません。それでも、本人がどのように考えていたのかを知ることは、家族にとって大切な支えになるはずです。
③ 銀行口座・保険・資産の情報
銀行口座や証券口座、加入している保険なども、家族に伝えておきたい情報です。
特にネット銀行やネット証券は、紙の通帳や郵送物がなく、家族が存在に気づきにくい場合があります。
- どこの銀行に口座があるのか
- 証券口座や保険の契約があるのか
- 関連する書類をどこに保管しているのか
まずは、こうした情報を整理しておくことから始めましょう。
本人以外が勝手にログインしたり、口座を操作したりするのではなく、必要になったときに正式な手続きを進められるよう、手がかりを残しておくことが大切です。
④ サブスクやデジタル契約に関する情報
動画配信サービスや音楽サービス、アプリの有料契約など、毎月料金が発生するサービスを利用している方も多いと思います。
利用しているサービスや有料契約の有無、パスワード管理に関する情報をどこに保管しているのかなどを記しておくと、家族が必要な手続きを進める際の助けになります。
パスワードそのものをノートに書くことに抵抗があるなら、無理に書く必要はありません。安全面にも配慮しながら、必要な情報にたどり着ける手がかりを残しておきましょう。
⑤ 家や財産についての考え
家や土地など、財産についての考えも、伝えておきたいことのひとつです。
ただし、ここでは細かく決めすぎないことも大切だと私は思います。
たとえば、「家は絶対に売らないでほしい」と書き残したとしても、家族の暮らしや経済状況、社会環境は変わっていくものです。
そのときの状況によっては、家を維持することが家族の負担になってしまう可能性もあります。
もちろん、どうしても伝えておきたい希望があるなら、書き残しておくことに意味があります。
一方で、「みんなで相談して決めてほしい」「状況に合わせて考えてほしい」といった伝え方もあります。
自分の希望を伝えつつ、残された家族が状況に応じて判断できる余地を残しておく。それも、家族への思いやりのひとつではないでしょうか。
なお、エンディングノートは、原則として遺言書のような法的効力を持つものではありません。財産の分け方など、法的に有効な形で意思を残したい場合は、遺言書についても検討しておきましょう。
なぜ、こうした情報を家族に伝えておく必要があるのか
ここまで、エンディングノートに残しておきたい5つのことを紹介しました。
では、なぜ元気なうちから、わざわざこうした備えをしておく必要があるのでしょうか。
家族でも、知らないことは意外と多い
私自身、自分の状況を振り返ってみると、いろいろと考えさせられることがあります。
私はネット上でたくさんのアカウントを持っていて、自分なりに情報をまとめています。しかし、それを妻が把握しているかというと、そうではありません。
もし今、私に突然何かが起きたら、妻は必要な情報を探すのに苦労するでしょう。
そして、これはお互いさまでもあります。
私自身も、妻がメインで使っている銀行くらいは把握していますが、細かい資産の状況や、どんなオンラインサービスを利用しているかまでは、正直よくわかっていません。
お互いに元気で普通に暮らしているからこそ、相手の情報を詳しく知らないまま生活しているのです。
自分の親のこととなれば、なおさらです。
投資信託をしていると聞いたことはあっても、実際にいくつ口座があり、それぞれどう運用されているのか、正確なことはわかりません。
親しい友人が誰なのか、その連絡先すら知らないこともあります。
普段は、それで困ることはありません。
しかし、突然の病気や事故などで家族が代わりに対応しなければならなくなったら、状況は変わります。
何を確認すればいいのか、誰に連絡すればいいのか。必要な情報を探すだけでも、かなりの時間と労力がかかってしまうかもしれません。
だからこそ、本人が元気なうちに、必要な情報を整理しておくことに意味があるのだと思います。
スマホの中に、大切な情報が集まる時代
もうひとつ、今の時代ならではの事情があります。
それは、私たちの生活がデジタル化し、家族からは見えにくい情報が増えていることです。
昔は、銀行の通帳や保険の書類など、重要な情報が紙で保管されていることも多くありました。家の中を探せば、ある程度のことは把握できたかもしれません。
しかし、今はネット銀行や証券口座、オンラインサービスなど、スマートフォンやパソコンの中で管理されている情報が増えています。
紙の通帳がなかったり、契約書類が郵送されなかったりすれば、家族がその存在に気づくこと自体、難しくなる場合があります。
スマートフォンは便利な道具ですが、本人しか知らない情報が集まる場所にもなっているのです。
家族にスマホの中身を見られたくないという気持ちもある
自分に何かあったとき、家族が困らないようにするためとはいえ、スマートフォンの中身をすべて見られることには抵抗がある方もいるのではないでしょうか。
家族であっても、プライベートなやり取りや個人的な記録など、見られたくないものはあると思います。
それは、亡くなった後であっても変わらないでしょう。だからこそ、エンディングノートを活用する意味があります。
必要な情報や手続きの手がかりを別にまとめておけば、家族がスマートフォンの中身を無理に探さなくてもよくなります。
もちろん、ノートがあればスマートフォンの確認が一切不要になるとは限りません。それでも、家族に伝えておきたいことをあらかじめ整理しておくことは、自分のプライバシーを守ることにもつながります。
そしてこれは、「見られる側」だけの問題ではありません。「見る側」にとっても、相手のスマホを確認するというのは、決して気持ちの良い作業ではないはずです。
スマートフォンの中身を見られたくない気持ちと、家族を困らせたくない気持ち。その両方を大切にする方法のひとつが、エンディングノートなのだと思います。
【関連記事】
家族が亡くなったあと、故人のスマホはどうする?開けないときの対処法と「見たくない」気持ち
エンディングノートは「終わりの準備」ではない
ここまで読んで、エンディングノートの必要性はわかったけれど、やはり少し抵抗がある。そう感じる方もいるかもしれません。
私も、最初から前向きに捉えられたわけではありませんでした。
「終活」という言葉に、少し抵抗を感じる理由
「終活」や「エンディングノート」という言葉には、どこか人生の終わりを連想させる響きがあります。
まだ元気で、毎日を普通に生活しているのに、わざわざ自分の終わりを想定してノートを広げる。そんなことに、少し寂しさや抵抗を感じるのは自然なことだと思います。
ですが、実際に自分の生活や親のことを考える中で、このノートの意味は少し違うのではないかと感じるようになりました。
今の自分の状況を整理し、必要なときに家族が困らないようにしておくこと。
つまり、人生の終わりに向けて何かを決めるためだけのものではありません。そう考えれば、少し捉え方が変わるのではないでしょうか。
エンディングノートは、家族のためであり、自分のためでもある
エンディングノートを書くことは、家族の負担を減らすためだけのものではありません。
自分の情報を整理してみると、今の暮らしを見直すきっかけにもなります。
- 使っていない口座や、忘れている契約はないか
- 必要のないサブスクリプションを続けていないか
- 自分にとって本当に大切なものは何か
こうしたことを確認するだけでも、日々の暮らしを整理することにつながります。
また、ノートを書き始めることで、家族とこれからのことを話すきっかけにもなるでしょう。
いきなり医療や介護、財産のことを真剣に話し合うのは、少し難しいかもしれません。
それでも、「もしものときに困らないように、必要なことを少しずつまとめておこうと思っているんだ」と伝えることなら、始めやすいのではないでしょうか。
自分のために情報を整理することが、結果として家族の安心にもつながる。
それが、エンディングノートを元気な今から始める大きな理由だと思います。
エンディングノートは、完璧に書かなくてもいい
エンディングノートと聞くと、専用のノートを買って、すべての項目をきちんと埋めなければいけないように感じるかもしれません。
でも、決してそんな必要はありません。
市販の専用ノートでなくても、普通の大学ノートやルーズリーフ、メモ帳でも構いません。
まずは、これまで紹介した5つのことのうち、自分にとって必要だと思うものから始めてみてはいかがでしょうか。
一度にすべてを書き切る必要はありませんし、考えが変わったら書き直しても構いません。
大切なのは、立派なノートを完成させることではなく、必要な情報を少しずつ整理していくことです。
元気な今だからこそ、落ち着いて自分のペースで進められます。
そして、書いたノートは、必要なときに家族が見つけられる場所に保管し、その存在と保管場所を家族に伝えておくことも忘れないようにしましょう。
「大事なことは、このノートに書いてあるよ」と伝えられる安心
もし親が、「大事なことは、このノートに書いてあるからね」と一言伝えてくれていたら。
それだけで、家族はどれほど安心できるだろうと思います。
それは、単に手続きを進めやすくするだけではありません。
家族が「本人はどうしたかったのだろう」と迷ったときにも、その人の考えを知るための助けになります。
もちろん、ノートに書いてあれば家族が迷わなくなる、すべての問題が解決する、というわけではありません。
それでも、本人の考えや大切にしていたことが少しでもわかれば、家族はそれを手がかりに考えることができます。
エンディングノートは、家族の代わりに判断するものではありません。家族が困ったときに、少しでも安心して前に進めるようにするための道しるべです。
そして、それは家族のためだけではなく、自分自身が「必要なことは伝えてある」と思える安心にもつながるのではないでしょうか。
まとめ|自分に何かあったときのために、今できることから始めよう
エンディングノートは、決して人生の終わりだけを考えるものではありません。
自分の情報や希望を整理し、これからの毎日を安心して過ごすためのもの。そして、自分に何かあったとき、家族が必要な情報を探すための道しるべでもあります。
今回紹介した5つのことを、最初からすべて書き残す必要はありません。
まずは、自分にとって大切だと思う情報をひとつ、ノートやメモに書いてみる。それだけでも、立派な第一歩です。
「終活」という言葉に抵抗があっても、「大切な家族を困らせないための整理」と考えれば、少し前向きに捉えられるのではないでしょうか。
元気な今だからこそ、できることがあります。
無理のない範囲で、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
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